
次に登場していただいたのが、現在制作中の『NARUTO-ナルト- 疾風伝ナルティメットストーム2』で、背景美術を担当するシニアデザイナーの四ヶ所鉄矢氏です。サイバーコネクトツーにおける、ゲーム背景の制作過程を紹介していただきました。サイバーコネクトツーにおける背景制作の基本的な流れは、「ラフ制作」「3Dモデルへの貼り付け」「地塗り」「仕上げ」という工程に分けられるそうですが、今回はPhotoshopの活用事例を紹介するために、「地塗り」「仕上げ」を中心に講演されました。
今回使用する背景画面は、水彩画風のタッチを基調として制作されています。まず背景の土台を作る「地塗り」の段階で四ヶ所氏がこだわっているのが、使用するブラシ。水彩画風のタッチを出すために、ブラシをカスタマイズされているそうです。このように、描きたい画風に合わせてブラシをカスタマイズすることが重要だそうです。次に水彩画用紙に描いたときの“ざらつき”を表現するために、Photoshop内のテクスチャを適用。今回はPhotoshopに標準で入っている「水彩画用紙」を使用されていました。そして、水彩画風の塗りムラを再現するためには、描画混色を適用すると、いい風合いが出るとのこと。実際の描き込み方については、制作風景を動画で流しながら紹介していただきました。「筆のストロークは大きく大胆に動かした方が雰囲気が出る」「細かく動かすと必要以上に塗りムラが出る」「遠景から近景までのコントラスト、空気感を意識する」といったテクニックが説明される中、色の無かった空間が美しく彩られていきました。

仕上げの段階では、遠景・中景・近景の木や岩の描き分け方、水の表現の仕方などを細かくレクチャーされました。絵の全体のバランスを意識すること、色の流れを意識することを強調されました。とくにディテールの描き方に関しては、あまり重要視して描き込みすぎると、絵の全体のバランスが壊れるので注意が必要だそうです。仕上げのまとめとして、「ブラシをカスタマイズすることで、デジタルであってもアナログ的表現が可能であること」「開発現場でブラシを共有することで、画のタッチを合わせていくことも可能であること」の2つのポイントを挙げられたあと、「あくまでも地塗りを補足するような感覚で仕上げを行うことが大事だ」と、付け加えられました。
最後に、水彩画のように仕上がった美麗な背景の中を、ゲームのキャラクターが実際に走るシーンを見せていただきました。パースマップという手法を使用することで、木を本物の植物のように動かしたり、水を流れさせたりといった、自然な表現が可能となっているそうです。