デザインセミナーツアー大阪

■ 5月26日(水) 大阪ブリーゼプラザ小ホール

Keynote セッション 1
  株式会社プランニング・ロケッツ デザイナー 石黒 亮 氏
  株式会社広友社 取締役制作部長 佐々木 康 氏
  進行:アドビシステムズ株式会社 岩本 崇

 大阪会場の第一回では、「変わってきた制作と印刷の現状」~紙媒体とクロスメディアのこれから~ と題し、大阪で活躍されている制作会社様と印刷会社様にご参加いただき、クライアントニーズとビジネスモデルはどう変化してきたのか、そしてどう変わって行くのかをいくつかの質問と共に考えていくというスタイルでセッションを行いました。

 デザイン全般、Webディレクションだけでなく、社内のシステム管理や社員教育等まで多岐に渡り業務の内外を問わず様々なHot Topicに目を光らせ、その情報を社員全員で共有できるようなイントラを構築されている石黒氏。紙媒体の印刷だけでなく、Web媒体の仕事も受注できるよう、クロスメディアの実践のために奮闘されている傍ら、個人でも様々なデザイン雑誌に PhotoshopやFlash関連の執筆をされている佐々木氏。このお二人の自己紹介からお話しを始めていただきました。

石黒氏、佐々木氏

石黒氏:25年前に創業し、制作・デザインを手がけてきているので、デザインについてのノウハウは蓄積されていますが、新しい情報は日々追いかけていかなければなりません。各自が日常業務の中で時間を取るのは難しいことなので、私が新しい情報をWebで収集し、 社内へ拡げるということで情報共有を行っています。

佐々木氏:1973年に写植業から始まり、後に文字組版機、製版機、印刷機の導入と共に企画・デザインから印刷納品、商品管理等行ってきた印刷会社です。私は1998年頃の入社。ちょうどアナログからデジタルへの移行期、DTPという言葉が使われだした頃でした。そ れから5~6年後、インターネットの普及と共にWeb事業にも取り組み始め、2008年にはメインマシンをWindowsに変更しました。

岩本:いわば、皆様と同じような形でお仕事をされているということでご理解いただき、本日はパネルディスカッションという形で進めていきたいと思います。

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<Q1:現在ご使用のAdobe製品とそのバージョンは?>

 お二人はCS3をご使用。会場の挙手でもCS3が多く、かなり前に進んでいる状況が見て取れた。プラットフォームは石黒氏がMac、佐々木氏はWindows。Windowsを選んだ理由は、一般のお客様の環境、お問い合わせ等に対応するため。また、Macが高かったということもあるとのことでした。

<Q2:お客様に提案する際の付加価値(他社との差別化)は?>

石黒氏:だんだんとデザイン、質の違いだけでの勝負は難しく、金額での勝負、価格競争に陥りがちです。どうやって付加価値をつけるかは、お客様が何を望んでいらっしゃるか。カタログ制作のご依頼をいただいた際、クロスメディアという点からは、カタログを作って終わりではなく、色々なメディアにどう活用できるかまでのご提案をすること。これがデザイナーやクリエーターの範疇かどうかというのは別として、お客様のニーズ、最適なソリューションというものを案件ごとに模索する必要があります。

岩本:お客様の依頼にプラスαでのWebであったり、お客様のニーズ に応えるという形でのご提案を常に意識されていて、そのために情 報共有が必要ということですね。

佐々木氏:紙とWeb両方のワークフローとそれぞれの見せ方を理解することで、お客さまに合った最適なサービスを提案できることを付加価値と考えています。既存の制作工程にWebを活用することで、スムーズに進行できるシステムを構築し、7~10日必要だった工程が 約1日でできるようになりました。

 佐々木氏からは、Web入稿から編集、自動組版による制作までの具体的な事例、メール・FTP入稿からオンライン校正までの新聞製作のシステムではコスト削減をも可能にしたことを図式で説明、その他事例もご紹介いただきました。

<Q3:現在のお仕事では紙媒体が主?
   それともWebにシフトしてきている?>

石黒氏:広告の出稿が減っている、Web広告に変更する、カタログは印刷せずにPDFファイルでというような事例は増えてきているので、紙が増えてWebが減ってるということはないでしょうね。弊社ブログに掲載しているオーディオメーカーさんをご紹介しますが、高価なパワーアンプの購入者は減っていて、限られた昔からの顧客のみになっています。若い人がピュアオーディオに興味があるかないかという以 前に、本当に良い音を聴いたことがないのだからわからないだろ?ということになりました。ですが、若い人を対象にしたメディアがないので、実際に試聴会を行うことにしたんです。若いミュージシャンを招待する等で客層を拡げていく試みを行っています。ブログで試聴会を公開し、情報発信・告知等、Webの活用を考えています。デザイン会社ではあるけれど、デザインするのではなく、メディアを創造する。これもクリエーターとしては同じだと思っています。

佐々木氏:紙媒体は減ってきています。紙媒体だけでの勝負は価格競争へと陥りますが、Webを付加価値として加えることで提案しやすくなると思います。

岩本:紙自体が全くなくなるということはないが、大きく増えるということもない。お二人がビジネスでご提案されている部分でもWebが少し増えているのではないかという感じですね。

大阪Keynote セッション 1大阪Keynote セッション 1

<Q4:どうやってWeb等、紙媒体以外の受注を増やしていったのか?>

石黒氏:積極的にWebを勧めてきたわけではなく、お客様からのア プローチも多い。常にお客様にとってベストソリューションは何なの かを総合的に判断しご提案できるように、またそれに対応できる準 備、知識、技術の習得というものは個々で行っていますが、新しい技術、Webのスキル等は必要にかられて、身に付いていくものだと思います。Webに対応できる人材は現在半数くらい、社内において特別なスキルというようなものではありませんが。Webやコーディングの知識を持った新しい人材に古くから培ってきたデザイン技術のノウハウを伝え、完璧にしていくということは行っています。

佐々木氏:5~6年前に立ち上げたプライベートサイトのFlashが注目され、出版社やポータル系のサイトをご紹介いただけることになり、そこからWebの案件が増え、PhotoshopやFlashの作品を掲載しているので、関連の執筆依頼も受けるようにもなりました。サイトを立ち上げればフィードバックがあると実感し、会社でもWebを活用しビジネスにつなげていきたいと考え、宣伝としてサイトを立ち上げ、サンプルサイトをどんどん作り、Web活用のご提案を行っています。社内の底上げの為に学習ということで社内ブログもあります。ブログに慣れることが目的、スケジュール共有、定期的なミーティング等を行っています。情報共有による社内のモチベーション、スキルアップ、最終的には自社サイトへの集客を狙っています。どんな方向でもOKで、とにかくWebに慣れること。遠回りが近道だとも考えています。

<Q5:紙媒体はこれからどうなっていくと思いますか?>

石黒氏:電子書籍の話題が多いですが、紙媒体がなくなるということはないと思っています。

佐々木氏:なくなりはしないが、増えることはないと思います。Web で代用できないもの、梱包関係、パッケージ等は確実に残ると思い ます。

岩本:紙は誰しもが見ることのできるメディアだと思っているのですが、電子書籍等が出てくれば紙というものが代用されてしまうだろうし、広告費の減少ということでは折込チラシ等も減っている。紙を取り巻く環境は厳しいところですね。印刷会社様として、印刷を止めてしまったというお話しもお聞きしたいのですが…。

佐々木氏:5~6年前までは自社で印刷していましたが、現在は全て外注です。今は、印刷物を作っている会社ということですね。

岩本:もともとは写植の部分があったり、印刷機を回されていたのも事実ですし、時間の経過の中でビジネスが変わらざるを得なかったというところかとも思いますが、皆様も同じように価格競争に巻き込まれているということもあるのではないでしょうか。

大阪Keynote セッション 1

<Q6:クロスメディアへの取り組みとは?>

石黒氏:残るメディアと残らないメディアの見極めはまだできない。便利なものが生き残るとは限らず、本当に良いものが残るというよりはリーズナブルなものが残っていくと思います。日々状況は変わっているので、毎日の見極めが必要。お客様に寄り添って親密になることが重要だと思います。クロスメディアありきではなく、どんな悩みなのかからスタートすることで見えてくるものが必要なもの。お客様の求めるものを提供することが重要で、クロスメディアはひとつの手法でしかないと思います。

 佐々木氏は、Webと紙媒体の方向性として簡単な図式にまとめたものを提示され、必要なスキル・情報のご説明。デザイン力、企画力・提案力・コミュニケーション力、XML、JavaScript、EPUBは共通して必要なスキルであると語られた。

 最後に、一時間おつきあいいただいた中で、今後のビジネスのヒントがひとつでもあれば幸いです。と岩本が結び、セッションを終えました。

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