小木氏:今回のデザインサミットのタイトルは「グッドデザインで不況をぶっ飛ばせ!」なんですが、正直、いまは厳しいですよね。
雑誌業界でも発行部数は伸びてるのに広告収入が減ったから休刊する雑誌があるのも現実です。その中でデザイン事務所を経営していくのは本当に厳しいと思うのですが。
丸田氏:確かに。昨年から今年にかけて何誌が休刊したか一覧にしてみるとゾッとします。長い間この業界にいますが、こんな状況は初めてです。
小木氏:出版業界の売上高は11年連続対前年比割れ。また、雑誌広告は2007年にインターネット広告に数十億円の差をつけられて抜かれていまいました。以後、年々差が開いている状況です。
しかし広告が全てインターネットになることもないですし、紙媒体も残っていくし、雑誌も残る努力をしています。
そこで改めて、紙媒体の価値とは何かについて考えてみようと思うのですが。
丸田氏:いま雑誌が売れない。それはインターネットの影響ももちろんあるでしょう。単に情報の羅列ならインターネットで十分ですよね。無料だし検索なども簡単にできますし。
そんな状況下で紙媒体の価値とは何なのかと言うと、情報の羅列のような動くための情報(行動コンテンツ)ではなく、どちらかと言うと“行動コンテンツ”もありながらも、いかにその中に“感動コンテンツ”、つまり人の行動を促す、人を感動させる、人を惹きつける要素を内包しているかではないでしょうか。そうすると大事なのは、ひとつは写真の力、ひとつは文字(コンテンツ)の力、そしてデザインの力になると思います。
ですから、これまで以上にデザインへの要望や価値は高まってくると思います。
小木氏:そうですね。さきほども述べましたが、デザインは雑誌の情報を読者に伝えるインターフェイスな訳ですから、それが機能しないと伝わるものも伝わらない。そしてさらにプラスαの何かで読者に感動してもらいたい、喜んでもらいたい、そう思いながら編集者は作っています。それをカタチにしていただくのは、デザインの力だと信じています。そう言う意味でも、いかに良いデザイナーさんと巡り逢えるかが編集者にとって財産でもあるわけです。
今回のセミナーに参加されている皆さんはデザイナーの方が多いと思いますが、ぜひとも一緒にデザインの力を高めていって、この厳しい不況を乗り切っていきたいと思います。
丸田氏:いろんなデザイナーや経営者と話しても「厳しい」との声ばかりですが、ここ1、2年は業界全体で我慢していくことが大事だと思います。例えば、出版社が生き残るために制作単価が下がっていく傾向にありますが、受注側もそれにも対応していかなければなりません。デザイナー個人もこの現状を認識して、前向きに自分の力に変えていける、自分が成長するために変えていけるようなデザイナーが生き残るでしょうし、そう言うデザイナーが重宝される時代になっていくと思います。
小木氏:最後に、今回のデザインサミットは都合3日行われました。1日めの東京、2日めの大阪では「デザインDAY」としてアイデアの部分について、3日めの本日は「ティップスDAY」としてアイデアを具現化する3つのアプリケーションにまつわる話、そして、いま「デザインをビジネスとして、どう成立させていくのか」についてお話ししました。何かひとつでも皆さんのお仕事に役立つものがあれば、非常に嬉しいく思います。ありがとうございました。

